小説S @あめぞう

 ■ 叶え、あたしの恋。

76:伊藤カホ
Feb. 8, 2018, 22:10:49


そうだ。保健室だ。

それならまだ精神を保てるかもしれない。


「そうします……」

「そのほうがいいよ。なんか顔青いし」

「はい……」


こうしてあたしは先輩と保健室へ行った。


保健室の前へ立つと、先輩が優しく扉をノックする。


「失礼します」


「はいはい、何かな?」


出てきたのは、白髪混じりのおかっぱにメガネをかけた40代くらいの先生だった。

確か名前は……。


「高野先生」


先輩が先生に呼びかける。

そうだ。高野貴子(たかこ)先生だ。

75:伊藤カホ
Feb. 8, 2018, 22:02:39

見られたら ×
見たら ○

74:阿藤カホ
Dec. 9, 2017, 02:10:32


あたしがブルブルと震えていることに気がついた先輩は、背中をさすってくれた。


「…怖い?」

「……はい……」


今すぐ先輩の胸に飛び込んで泣き叫びたい気持ちだった。

だが、そんな姿を満那と繋がっている人間が見られたら後が怖い。

きっと、「先輩に満那のことをチクったクズ」と称されいじめられるだろう。

それだけは避けたいと思った。


「…教室が嫌なら、保健室行く?きっと保健の先生がいろいろ相談に乗ってくれるから」


あたしの背中をさすったまま先輩は言った。

73:阿藤カホ
Dec. 9, 2017, 02:04:41



「あ……大丈夫.…です…」


先輩に心配をかけたくないからと笑顔を作ったが、ひきつってしまっていることが自分でもわかった。


「ほんと…?ならいいけど、耐えきれないなら私に言ってね?」

「はい……」


先輩の優しさに涙が出そうになる。

みんなはあんな噂を信じても、先輩は噂に影響されていない。

いつもと同じように接してくれている。


「ほんとに……ありがとうございます……」


怖かった。

教室に行くのが怖かった。

72:阿藤カホ
Oct. 11, 2017, 14:25:20


ようやく校舎まで着くと、みんな次々とアリが巣から出るかのように降りていった。

あたしは前の方の席に座っていたのだが、もたついていたせいであっという間に目の前で行列を作られ、降りるタイミングを見逃してしまった。

行列の間に入ろうとしても、みんな降りることで頭がいっぱいなのか、なかなか間を開けてくれなかった。


この前あたしを起こしてくれた先輩だけ、チラチラとあたしを心配そうな目で見てくれた。

この先輩はあたしの噂を信じてないのだろうか。

信じていない人もいることがわかり、あたしの心は少しだけ穏やかな波に包まれていく。


「……大丈夫?美矢ちゃん。いろいろ言われちゃってるけど……」


バスから降りて少し歩くと、先輩が声をかけてきてくれた。

71:阿藤カホ
Oct. 11, 2017, 14:04:16


でも、それでも……黒木くんの存在を思い返せば自然に心が安らぐのだ。

ブスが嫌いとか言われてもいい。

両想いになれるわけなんてないって、最初から諦めてた。

黒木くんを見れるだけで、あたしは幸せなんだから。


その瞬間、あたしはハッとした。


__もし、満那が黒木くんに噂を言ったら?


黒木くんと満那は結構話しているっぽいし、あたしのこともきっと話題にするに違いない。

最悪の場合、他の誰かが噂を広め、すでに黒木くんの耳に届いているのかもしれない。


__そんな……嫌だ……!


黒木くんには嫌われたくない。そんな気持ちでいっぱいになった。

70:阿藤カホ
Oct. 10, 2017, 15:26:35



「……プッ。何してんのあいつ」

「知らなーい」

「ウケる。異常者みたい」


後ろからも隣からも、あたしの悪口が次々と聞こえてくる。

ショックだった。

満那が噂を流したとはいえ、信じきるのはほんの一部だけだと油断していた。

ところがみんな信じきっているようだ。

__冗談じゃない。


あたしは必死に泣くのを我慢しながら、ただ学校に着くのを待った。

本当は行きたくなかったんだけど。

69:阿藤カホ
Oct. 9, 2017, 00:45:09


_嫌だ……帰りたい…。

満那に会いたくない。怖い……。


心臓がドクドクと静かに鼓動を早めた。

運転手と目が合い、とっさに反らす。


バスは完全に目の前に来た。窓越しからのみんなのあたしを見る目が怖い。

やっぱり、満那はみんなにあたしの噂を流したんだ。

満那の言ったことを信じるみんなもみんなだ。どうして嘘だって疑わないの?

まあ、どんな噂を流したのかはまだ知らないけれど。


バスに乗った瞬間、すぐに気づいた。

みんなの雰囲気がいつもと違う。

あたしへの明るいあいさつも、今日はない。

結局あたしは嫌われてしまった。

あたしはここにいるべき人間じゃない。だって人を不快にさせるから。


涙が溢れた。こぼれ落ちないよう、少し上を向く。

68:阿藤カホ
Oct. 9, 2017, 00:33:15



「…ふーん?普通に楽しいけど」

「……そっか」


それ以降、真矢と別れるまで会話はなかった。

真矢は何かを悟ったのか、時折あたしを心配するような顔で見てきた。


あたしは今すぐにでも悩みを真矢に相談したいという思いにかられた。

だが、妹に相談する姉なんてなんだか情けないしカッコ悪い気がするのでやめた。


ようやくバス停につき、ほっと息を吐く。

本当は今すぐ家に帰りたかった。

それは、バスに乗った瞬間みんなにどんな目で見られるかと想像すると怖くなってしまったからだ。

満那と仲がいい子はたくさんいる。

そのたくさんの子が満那の見方をすると思うと怖くて仕方がない。


バスがこっちへ迫ってくる音があたしの耳に届いた。

67:阿藤カホ
Oct. 9, 2017, 00:21:28


あたしは真矢に尋ねることにした。


「……ねえ」

「ん?」

「真矢ってさ、学校楽しいと思う?」

「…え、昨日からどうしちゃったのお姉ちゃん。」


真矢はまるで事件の犯人探しをする探偵のような目付きであたしを見てくる。

賢い真矢なら、あたしに学校でトラブルがあることを見抜いてしまうだろう。


__嫌だ。真矢には知られたくない。

あたしが失恋して、今は友達と絶交しそうなくらい仲が微妙だということを。


「……別に。気になっただけ」


あたしはそっけなくそう答えた。


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