1泣けるならばきっと、それは恋でしょう。 投稿者:伊藤カホ  投稿日:2017年03月26日(日)13時57分06秒


どうして?どうして?どうして…?

どうしてあの男は、私を選んでくれなかったの?

どうしてあいつは、私の邪魔をするの?


私は男じゃないよ。本当は女の子。

なのに…。


どうして私を避けるの?

私が女の子だってわかったじゃない。

なら、付き合ってくれでもいいでしょ?


狂愛物語。
2投稿者:伊藤カホ  投稿日:2017年03月26日(日)14時03分37秒

注射器で、私の血が啜られる。

血が苦手な私は、注射器を見ないように横を向く。


「はい。終わりましたよ」


係の女性が私に優しく声を掛ける。

そしてようやく血液検査は次の人に回った。


「は〜終わったぁ〜」


五分ほど休憩をして教室に戻った私は、深くため息をついた。

3投稿者:伊藤カホ  投稿日:2017年03月26日(日)14時11分26秒

「んだよお前。男のくせに注射が怖いとか。モヤシだな〜」


友達の康雄が私をからかってくる。


「もう、うるさいなあ。いいじゃん、血が苦手なんだから」


とっさに私は言い返す。


「えっ…!血が苦手とか…!マジかよおいおいおい」

「いいからほっといてよ」

「へいへい」


諦め、去っていく康雄。


そう、私は男。具体的には、男として生きることに決めた、女。

4投稿者:伊藤カホ  投稿日:2017年03月26日(日)14時20分48秒

でも、それを学校のみんなは知らない。

知っているのは両親を亡くしたときに私を預かって育ててくれた山田さんと、学校の先生だけ。


私に、男の心があるわけじゃない。

ただ、怖いんだ。


まだ女として生きていたときに向けられる視線が。


「見ろよあの子。可愛い〜」

「すっげー、俺の彼女にしたいなぁ」

「いいなそれ。あの子、純粋そうだし。ちょっとアタックすればすぐ付き合ってくれるぜ」

「やべー、貧乳じゃん。最高」

「お前貧乳派なのかよ」
5投稿者:伊藤カホ  投稿日:2017年03月26日(日)14時29分41秒

気持ちの悪い欲望むき出しな男たちの、私へ向けての会話。

聞いたのは一回だけじゃない。

学校へ行くバスは、行き先が同じなのか毎日あの男たちと一緒だった。

だから、あの会話は登校バスで毎日行っていた。

帰りは乗っていないときがあったので、そのときは安心できた。


山田さんは朝早くから出かければいけない仕事をしているので、車からは送ってもらうことはできず、男のことを打ち明けることも無理だった。 


あれから8年。ずっとずっと我慢してきたが、ついに耐えられなくなり、男として生きることに決めた。

6投稿者:伊藤カホ  投稿日:2017年03月28日(火)10時39分27秒

8年じゃなくて4年で
7投稿者:伊藤カホ  投稿日:2017年03月28日(火)10時49分27秒

そして高校1年になり、山田さんに男として生きる許可をもらった。

先生にもそれを山田さんによって伝えられた。


もちろん、入学式は学ランを着て行った。

私の名前は諒(あさ)で、漢字と読みは変えなかった。

最近は珍しい名前が多いので、あまり変に思われることもなく済んだ。

8投稿者:伊藤カホ  投稿日:2017年03月28日(火)11時03分16秒

『 出会い 』



半月後、私はある男子と仲良くなった。

彼は森永康雄。短髪で、褐色肌なのが特徴だ。

テニス部に所属していて、部員の中ではかなり強い。

小学生の時からテニスを習っていたからだという。


私がいる1年2組は知らない人ばかりで、なかなか友達が作れずいつも一人だった私に康雄は声をかけてくれた。

それから、私は康雄と行動を共にすることが多くなった。

9投稿者:伊藤カホ  投稿日:2017年03月28日(火)11時10分50秒

康雄とふたりでバカ話をしたり、授業でペアを組むように指示されたときは積極的に私と組むようにしてくれた。

そんな明るくて優しい康雄に、私は恋をしてしまった。


でも、男になってしまった以上、絶対にその恋は実らない。

女として見られない。愛してもらえない。

それが辛くて辛くて、毎夜布団の中で泣いていた。

10投稿者:伊藤カホ  投稿日:2017年03月28日(火)11時20分49秒

けれど、康雄に会うとそんな悲しみも吹っ飛んだ。

メールアドレスと電話番号、LINEも交換し、必要なときに連絡をした。


本当は連絡だけでなく雑談もしたかったのだが、康雄の勉強の邪魔になると思い、言葉を送るのは控えた。


そして、今に至っている。



「はあ…」


右腕を採決されたので、授業でノートを取るときに力が入らなかった。

動かすと、少し痛みも感じた。


授業が終わりノートを見直すと、いつもより字が雑になっていた。


「あーあ。ダメだこりゃ」


私は深くため息をついた。

11投稿者:伊藤カホ  投稿日:2017年03月28日(火)11時27分24秒

私はチラリと康雄を見た。


他の友達とつるんでいて、爽やかな笑顔を見せていた。

胸がドクンと鳴る。


素敵な笑顔だなと私は思った。


しかし、その友達の中には女子もいた。

その女子がもっと近くで康雄の笑顔を見ているのだと思うと、少しだけ妬ましくなった。


あの子と私が入れ替わったらいいのに。


私は服の裾をギュッと握りしめた。

12投稿者:伊藤カホ  投稿日:2017年03月29日(水)16時27分19秒
8の『』の部分なしで
13投稿者:伊藤カホ  投稿日:2017年04月04日(火)14時37分06秒

しばらくすると、その女子が甘い声で 


「康雄、放課後体育館倉庫に来れる?」


と、問いかけた。

私の心臓はさらに大きくドクンッと鳴る。


コイツも康雄目当てだったのか。

私は女子を睨んだ。


康雄は笑顔で


「わかった」


と答えた。
14投稿者:伊藤カホ  投稿日:2017年04月04日(火)14時45分37秒

☆☆☆


放課後を告げるチャイムが鳴る。

私はもちろん、体育館倉庫に行く途中だった。


康雄を女に取られるわけにはいかないと思っていた。

康雄が女子と付き合うなんて考えられなかった。


あいつが康雄に告白したら、全力で止めてやる。

もう、あの女を康雄に嫌わせる方法も考えてある。


あのふたりは倉庫にいるだろうか。

ようやく私は体育館に入った。
15投稿者:伊藤カホ  投稿日:2017年04月04日(火)14時53分59秒

体育館倉庫はすぐそこだ。

私は足音を立てないよう上履きを脱ぎ、ゆっくりゆっくりと近付く。


人の話し声が聞こえる。やっぱりあのふたりがいる。


体育館倉庫の扉は固く閉じられていて、開けるのは困難だった。

でも、耳を済ませば話し声は聞こえた。 


「…なんで……?何であたしじゃダメなの……?」


それは泣き声で、嗚咽も聞こえてくる。
16投稿者:伊藤カホ  投稿日:2017年04月04日(火)14時58分28秒

あの女が康雄にフラれたとわかり、私は口端をつり上げた。

そして、口パクで「ざまあみろ」と言った。


そうだよね、康雄。あんなぶりっこ女、康雄が受け入れるわけないよね。

笑いを必死で堪えていたそのときだった。


「俺、他校に彼女がいるんだ。ごめん」


上がっていた私の口端が下がるのがわかった。
17投稿者:伊藤カホ  投稿日:2017年04月05日(水)02時22分16秒

彼女がいるなんて聞いていない。初耳だ。

私はどんどん青ざめていく。

ショックで動くことができず、固まってしまった。


…あいつがフラれて、ようやく康雄は私のものになるって思ったのに。

そんなのあんまりだ。


私は血が出るぐらいに、唇を噛み締めた。
18投稿者:やあ、誰かと思えば  投稿日:2017年04月07日(金)19時13分51秒
君じゃないか
19投稿者:伊藤カホ  投稿日:2017年04月09日(日)00時47分15秒
お?どもども☆
かほピー★っす!!
20投稿者:伊藤カホ  投稿日:2017年04月09日(日)00時48分40秒
あ、これ中断して別の掲示板に書き始めたんでしくよろ!!
あっち完結したら戻る!
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