1話シテ笑ッテ楽シンデ。 投稿者:Ena  投稿日:2017年06月11日(日)18時07分27秒

いつもと変わらない賑やかな教室。
みんな平等で仲良し。
いじめも陰口も何ひとつない。
そんな素晴らしい夢幽中学校。

美紗はそこに入学し、どんどん友達を作っていった。
話が合う子たちばかりで、とても楽しかった。
夢幽中学校よりも良い学校はない。

美紗はそう思っていた。



2投稿者:Ena  投稿日:2017年06月11日(日)18時24分41秒


「4組か……」


美紗はクラス表を見て溜め息をつく。
今日から中学2年生。
正直、美紗は2年になんかなりたくないと思った。
1年生の頃がとても楽しかったからだ。

みんな美紗に話しかけてくれ、美紗も次第に打ち解けていった。
いじめも陰口も何もない、男女平等で仲良しだった。
小学校ではいじめや陰口が当たり前のようにあったので、中学に上がってからあまりのクラスの温厚さにびっくりした。


「……やな奴がいたらどうしよ」


美紗はまた深く溜め息をつき、4組の教室に入った。
小学校の頃のような光景なんて見たくない、繰り返したくない。

美紗は辺りを見回し、友達になれそうな子を探した。

3投稿者:Ena  投稿日:2017年06月11日(日)19時18分46秒

しかし、いくら探しても友達になれそうな子は見つからなかった。
クラスが新しくなって1日目だというのに、すでに仲良しグループが出来上がっていたのだ。
女子は3グループ、男子は2グループに分かれて、みんな笑顔で話していた。
一人の子はいない。

美紗は焦った。まさかこんなに早くグループが出来ていたなんて思いもしなかった。
グループなんて、人に話しかけて仲良くなれば自然に出来上がるものだと思っていた。
だが、現実は甘くない。
もしかしたら、このクラスでは友達ができないかもしれない。
そう思うと嫌でたまらなかったが、話しかけられそうな雰囲気ではなかった。

ふと、美紗は疑問に思った。
どうしてこんなに早くグループが出来上がっているんだろう。どうして一人の子がいないんだろう。
これじゃ自分が目立ってしまうじゃないか。

美紗はグシャグシャと髪をかき回した。

4投稿者:Ena  投稿日:2017年06月13日(火)05時57分39秒


結局、クラスメートに話しかけられないまま放課後を迎えた。
話しかけてくれる人がいるだろうと少しだけ期待していたが、誰も美紗に話しかけてはくれなかった。
それどころか、誰も美紗に見向きもしなかったのだ。
まるで、美紗を見てはいけないルールがあるかのように。

しかし、美紗は諦めなかった。
まだ1日目だし、みんな慣れていないから私に話しかけてこないだけなのかもしれない。きっとそうだ。
明日からは、頑張って友達を作ろう!
美紗は前向きになっていた。

外からゴロゴロと雷が鳴っていることに、美紗は気が付かなかった。

5投稿者:Ena  投稿日:2017年06月13日(火)23時45分46秒


____「行ってきまーす」



美紗は友達に話しかける時間を少しでも長くしようと思い、早めに家を出た。


「行ってらー」


弟の剛志(たけし)が3DSの対戦ゲームをしながら、ダルそうに返事をした。
剛志は見ればいつもゲームをやっている。
宿題なんて後回しで、母にいつも注意されているが、全く言うことを聞かない。頑固な性格だ。
今だって、きっと宿題が残っているはず。剛志はいつも朝に宿題をやるのだ。
しかし、たまにサボるので、そのときは担任に怒られているらしい。
すると母のもとに連絡が来て、それでまた剛志は怒られている。最近それが繰り返されている。
懲りない弟だな、と美紗は呆れていた。
そんな美紗も小学生のときは宿題を深夜にやっていたことを思い出した。
亡くなったおばあちゃんに、「あんたと剛志はそっくりだね」と言われていた。
当時は何がそっくりなのか理解できなかったが、今考えると案外似ていたのかもしれない。


「剛志、あんた宿題はいいの?」


試しにつっついてみた。


「うるせー、お前に関係ねーし」


予想通りの返事だ。
お前呼ばわりに少しカチンときたが、いつもそう呼ばれているので今さら注意するわけにも行かない。

剛志はぐたっと座椅子にもたれかける。ゲームの音が大きい。


「あっそう」


構うんじゃなかった、と少し後悔した。
でも、今はそれよりも早く友達を作りたい。
美紗はさっさと歩きはじめた。
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